ねえねえ知ってた? 平成21年2月 |
平成21年2月3日(火)
落語に「つる」という演目がある。ある男が物知りに「ツルは、なぜツルと呼ばれるか?」という因縁話を聞いたところ「昔はツルとは言わなんだ。首長鳥と言うておったのを、ある時、雄鳥が『ツーーーッ』と飛んできて木に止まった。次に雌鳥が『ルーーーッ』と飛んできて、木に止まった。そこから「ツル」というようになった。」と聞かされ、物知り顔で友人に教えにゆくという噺。落語には、根問ものと言われるパターンの噺がいくつかある。「つる」は掛け軸の絵の由来を聞く「絵根問」。他にも、商売根問、色事根問、歌根問・・その道の蘊蓄を落語の中で語らせる。 それにしても、ツルの由来が「夫婦で飛び方が違うから・・」とは、いかにも落語らしい「飛んだ」発想!ツルは、クジャクなどと違って、オスとメスの外見は違わない。もちろん、飛び方が異なるはずもない。また、いったん番いになれば、片方が死ぬまで連れ添う仲の良い鳥のようだ。 ところが、先日、もっと仲が良い鳥がいることを知った。「比翼の鳥」というらしい。「比翼の鳥」とは「翼と眼が一つしかない鳥で、二羽並んではじめて飛ぶことのできる、想像上の鳥」のこと。想像上とは言え、「これでは、ちと不便だろう」とツッコミを入れたくなるが、「愛があれば、翼の数なんて・・」と、本人、いえ、本鳥たちは気にしないのだろう。 仲の良い鳥と言えば、「鳳凰」も雌雄一対で吉兆として現れる鳥。こちらは、鳳がオス、凰がメスを表し、尾がフサフサで垂れ足が太いのがオス、尾が立って足が細いのがメスと言われる。宇治の平等院や金閣寺、銀閣寺の屋根の上のみならず、中国の県の名前(鳳凰県)、中華料理店の名前、披露宴会場名、 果ては、ゴルフクラブ名、高校名、刺青の柄にまで登場する鳳凰。そのパワーの源にもいつか迫ってみたいものである。 さて、「比翼の鳥」と似た意味を持つ言葉として「連理之枝」がある。別々に生えた二本の木が結合して、1本の枝になっているものを指す。先の「比翼の鳥」と合せて「連理比翼」という四字熟語もある。白居易が「長恨歌」の中で、玄宗皇帝と楊貴妃の仲を表現したのが原典だそうだ。ということは、昔からそういう現象はよく見られたのだろう。もちろん、比翼の鳥にはお目にかかれることはないだろう。しかし、「連理之枝」らしきものはそこここで見ることが出来る。日本でも、京都下鴨神社の「相生の社」にあるご神木が「連理木」と名付けられ、「縁結び」の信仰を集めている。また、淡路島の伊弉諾神宮にも樹齢900年の「夫婦大楠」がある。ここには、20年ほど前に初めて母に連れられて訪れた。ご祭神のイザナギ・イザナミの大神は、日本で最初のご夫婦であり、皇室のご先祖である天照御大神の御両親でもある。古事記、日本書紀では、「国生みの偉業を果たされたイザナギ大神が、天照大御神に国家統治を委ね、淡路島の多賀の地に「幽宮(かくりのみや)」を構えて余生を過ごした。」と書かれている。その跡に建てられた御陵(みささぎ)が、後に日本最古の神社となったと伝えられている。 実は私、淡路島に縁が深いというのに、この伊弉諾神宮が「日本最古の神社」であったとは、最近まで知らなかったのである。灯台下暗しとはこのことだ。更に言うなら、20年前に「夫婦大楠」を見た時にも、「ふ〜ん」という程度で、余り関心が沸かなかった。というのも、それまで男性とデートなどしたこともなく「自分は一生独身で過ごすのだろう。」と思い込んでいたからだ。 このような私ではあるが、先日、伊弉諾神宮の宮司様から送られてきた資料には、「目が釘付け」となった。それは、日本の主要な神社が、この最古の宮を中心に、ある法則に基づいて配置されていたという歴史的発見! これは、2006年5月より宮司に就任された本名孝至様の長年に渡る研究成果であるが、地元の人たちでさえ知らない驚愕の事実だと言える。神社や寺、城はパワースポットに建てられるというのを聞いたことがあるが、「なぜ、その地が選ばれるか?」という背景には、凡人では計り知れない智恵があるのだろう。そういう場所を選んで「婚礼の儀」を執り行うこと・・そこには、「結婚」というものを限りなく大切に扱う姿勢が現れているように思う。結婚について真剣に考えるエネルギーも時間も割かないまま、結婚生活に突入してしまったことを深く反省したワタクシ。3人の子の母となり、長女が大學を目前にする年を迎えて、「結婚相手の選び方」は、母としてきちんと教育せねば・・と研究しているところである。イザナギの大神も説かれたであろう、古来より伝わる結婚の智恵・・遅まきながら、頭を垂れて学ばせていただこうと考えている。 |