4.笑いの心へ及ぼす影響・「笑うほど増える心のエネルギー」
それでは次に、笑うことがなぜ健康にいいかというもう一つの理由をお話致しましょう。それは、
笑うほど心のエネルギーが増えるからなんですね。心のエネルギーって、どこかで聞かれたことないでしょうか?
今は随分元気になられて安心致しましたが、数年前に、皇太子妃雅子さまが療養中と発表がありましたね。
その時、主治医の先生が「心のエネルギーを高める治療をしてゆく」とコメントされていたのを覚えておられるでしょうか?
精神科の分野でも、目には見えないエネルギーが心の健康に大切だと言われ始めました。実は、笑うと、このエネルギーが心に入ってくるんですね。皆さん、気功とか太極拳って聞かれたことありますでしょ。 笑うことも、言ってみれば一種の気功なんです。もしその時の様子が目に見えたらこんな感じでしょうか? ![]() たとえば「あの人が幸せになったらいいわねえ」とか「今日もいい一日でした。有り難うございます。」とか 「あの人にも事情があって、あんなこと言ったのね。」とか思いやりの気持ちを持つと、Aになります。反対に 「あの人、失敗したらいいのに」とか「ほんまにもう、ウチの嫁は!」とか「私なんかつまらない人間よ。」 とか思うとBになります。 実は、このAの状態にあると心はハッピーハッピー幸福感を感じます。反対にBの状態にあると、何とも言えない 不快感を感じます。ですから不幸の原因は「あの人があんなこと言うたから・・」とか「こんなことがあったからだ・・」 とかいう方が多いですが、それはきっかけに過ぎないんですね。その事に対して、Bの状態を保ち続けているのが 不幸なんです。すみやかに気持ちを切り替えてAの状態にするのが、実は、幸せになる秘訣なんですね。 それは、自分が病気であろうが、家族に問題があろうが関係ありません。周りの条件を変えなくても、自分の 心をAの状態に持って行きさえすれば、常に幸せを感じて生きてゆけるんですね。 その典型的な例が、次のエピソードです。西川きよしさんの漫才の相方で、もう亡くなられましたが横山やすしさん という方がおられました。その娘さんがこんな体験をされているんですね。あるパーティ会場で娘の光さんがお母さんと座って いると、60才くらいのご夫婦が近づいてこられました。彼女は「またお父ちゃんが、迷惑をかけた人たちやろか?」と 身構えたそうです。そしたらそのご夫婦、次のような話をされたんですね。「私たちは事業が行き詰まり、夫婦で死ぬ ことを考えていました。そしたら、となりの部屋でかかっていたテレビから、やすきよの漫才が流れてきたんです。 そのおかしさに思わずお腹を抱えて笑ってしまい、死のうという気持ちがすっかり飛んでしまったんです。あなたの お父さんに救われました。」と感謝されたそうです。「笑いは一瞬にしてBからAの状態にしてくれる強力な助っ人」 だということがわかるエピソードですね。 人間の心は同時に2つの事を考えられないように出来ています。悲観的なことを考えながら、感謝したり笑ったり できません。AならA、BならBのどちらかの状態しか取れません。これって、とっても有り難いことなんですね。 話は変わりますが、最近、舌のすべりが悪くなったのか、大事な場面で、よく言い間違いをするんですね。いや、 もしかしたら、落語では「すごい、あんたは生き字引のような方や」と言うべきところを「あんたは生き地獄のような 方や」と言ったり、「前途有望やで」と言うところを「前途多難やで」と言ったりしてお客を笑わすわけですが、そんな 話を毎日聞いているせいでしょうか?お香典を戴いた時「すみません、お気遣いありがとうございます」と言うつもりが 「すみません、お小遣いありがとうございます」って言ってしまったんですね。あれは結構恥ずかしかったです。 それに勘違いも増えましたね。何でも、人生最大の勘違いは結婚だそうです。「連れ添って初めてわかる勘違い」 という川柳があるとか・・ 25年前に全国的に大流行した、さだまさしさんの「関白宣言」覚えておられますか?あれは、さださんが独身時代に 創った曲です。それからご結婚後しばらくして「関白失脚」という曲を作られたのは全国的には知られていないと思います ので、さわりの部分だけお聞きいただけますか?情けないご亭主の毎日をユーモアたっぷりに歌っておられます。 さださんの実生活ではないはずですが、このようにみじめな境遇をユーモアにまで高められたら人生の達人ですよね。 実は、落語の世界にも、いろんな出来事を明るく受け止めて生きている主人公がたくさん登場するんです。 江戸時代は身分制度の厳しかった時代ですから、わけもなくお侍に刀で切られる庶民がおりました。 試し切りにあって、胴体が上と下の真っ二つに分かれてしまった男がいたんですね。普通の小説では「男は死んだ」 で終わりますが、落語では、上半身、下半身がそれぞれ就職先を世話してもらって、たくましく生きてゆくんですね。 ワタクシこの不屈の精神には参りました。ですから、落語を知っていると、お得だと思うんです。つらい時にも、 明るく生きる智恵が身に付きますからね。 それにね、心では「私ってダメ人間」って自分を責めていても、心臓ちゃんは「生きろ生きろドッキンドッキン」と 健気に動いてくれてるんですよ。「死にたい」って叫んだ途端、「ハイッ!」いうて心臓止まりますか?「ハイッ!」て言うて 肺が呼吸を止めますか?止まらないでしょう?つまり、身体は、私たちを生かす方に生かす方にと働いてくれているん ですね。それなのに、人間はすぐに勝手なことを考えてしまいます。「もう死んでしまおう」とかね。でも心臓ちゃんにして みれば、「えっえーッ、ちょっと待ってえな。まだノルマ果たしてへんがな」って焦りはると思いますよ。ネズミちゃんの 名誉のために言っておきますと、数年で死ぬと言っても、ネズミちゃんの心臓は「ヤッター、ノルマ達成!」と満足して から死んでいるんです。・・のはずです。かわいいペットのワンちゃん、ネコちゃんも同じだと思いますよ。 ですから万が一生きるのがつらくなった時には、このフレーズを思い出してください。 ちょっと待ってえな。まだ30億回ドキドキしてへんで! 30億回というのは、現代の日本人として計算してあります。これも「あなたの寿命を10年延ばす?!」の内に入る かなと、こんなフレーズを考えてみました。かくいう私も、若い頃には気弱なことを考えたひとりですが、「がんばって生きてたら、いいことが待ってるんだ!」「春の来ない冬はないんだ!」と、しみじみ感じています。 |